中力粉でタルトの生地(パートシュクレ)を作ったのは初めてかもしれない。
季節の果物が八百屋で出回り始めたり、美味しそうなレシピを見かけると作らずには居られない。たまたま頂いたライムでライムカードを作り、トーストに塗って食べてもむちゃくちゃ美味しいんだけど、せっかくなのでタルトにもした。
甘いぶどうと、ライムの酸味と複雑な香り、スペアミントの甘い爽快感、わたし、なかなかやるじゃないの。
お菓子づくは黙々と、面倒な作業の繰り返し。効率よく手際よく進めないとあっという間に生地がダメになったり、オーブンが温まらないうちに生地が完成してしまって生地の温度が下がって膨らまないパターン。さっくり混ぜる、が基本に染み付いている身にはあまりにも唐突な「マカロナージュ」という禁断の練り練りトラップ。
焼きあがった香ばしいキャラメルの匂いに期待を膨らませそこからさらに一晩冷ましていざお皿に出したらバラバラに解散するタルトタタン。
一発でうまく作れる時もあるけど、失敗するとムキになって成功するまで繰り返す。前回の失敗と思われる点を一つずつ潰して、成功するパターンを探す。
大体は2,3度目で成功する。でも油断したらまた失敗する。
お菓子作りは成功と失敗がはっきりわかる。
何がいけなかったのか、どうしたらうまく行くのか。
多分そのはっきりとわかる確かなものが欲しくて、お菓子を作っている。
いつでも他人のジャッジにさらされて、ある場所では褒められ、ある場所では死ねと言われる。唯一自分を肯定できるはっきりとしたもの。
大げさだけどわたしにとってお菓子を作ることは祈りです。
おおげさだな。

でも、この限られた小さな世界で完結してしまう確かさで自分を満たすのが同時にとても嫌になる。
わたしは確かに愛されたくて、その確かさを絶対に信用しないようにして、自分を愛そうとしている
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